クラスターとは何か

クラスターとは、延焼被害が起きた場合、運命を共にする建築群のことをいい、クラスター内の建物から1軒でも出火しそのまま放置した場合、クラスター内の建物全てが焼失する単位を言います。

茅ヶ崎市は、2006年(平成20年)の「地震による地域危険度測定調査」で、神奈川県下で最大規模のクラスターを抱える危険地域と指定されました。

(下記資料名をクリックしてください。)
茅ヶ崎市発行 『震災時、茅ヶ崎市では「火災」が怖いって知っていますか?』

このクラスターから逃げて身を守るための場所こそが「広域避難場所」です。

そもそもクラスターという現象を捉える研究の基礎は、大正時代までさかのぼります。関東大震災の教訓から東京大学では、実際に木造家屋や鉄筋コンクリート建築を燃やして、火災時の温度変化や延焼経路を捉える実験が行われました。(下記資料名をクリックしてください)
東京大学学内広報2013.3.25 No.1437

この実験を担当した濱田稔氏の研究が、昭和46年8月策定の神奈川県大震火災避難対策計画:神奈川県大震火災避難対策計画の概要―広域避難地選定作業等を中心に―へと繋がっています。

この計画の中で、一人2㎡の広域避難場所の確保を安全面積として計算する基準が掲載されています。
しかし他の避難地を選定することが不可能なときには1人1㎡を最小面積として計算できるとも書かれています。

これに対し国土交通省では人口密度40人/ha以上の都市において、面積10ha以上で、歩行距離2km以内(一次避難地は500m以内)の避難圏域内人口一人当たり2㎡が確保されていることが、広域避難地の要件とされています。
http://www.mlit.go.jp/crd/park/shisaku/ko_shisaku/kobetsu/

このような防災上不可欠な空間を持たない都市では、整備にあたって国の補助を受けられることになっています。

また愛媛大学防災情報研究センターが開発した火災延焼シミュレータでは、クラスター発生時の風向や対象地の建物構造等から、クラスターの延焼経路や時間を算出することができます。
http://cdmir.jp/simulator/
このソフトは一部の機能しか実装されていませんが、一つの指針を作成することが可能となります。
実際に、広域避難地周辺で出火が確認されたように数字を変化させてみてください。

ところが、このように研究が進んでも、クラスターへの完璧な対策は立てることができません。どうしてでしょうか?

それは、1. 火災が発生する場所が決まっていないこと、2. 現代の建築工法に関する実際の延焼実験ができないこと、によります。

1. に関しては、様々な場所で、色々な条件でシミュレーションを試すのと同時に、シミュレーションの結果を鵜呑みにしないということが重要です。
2. は、出火を見たらすぐに逃げる、という意識を持つことが大切になります。

科学手法が限界であり、政策上も対策を立てられなかった結果、茅ヶ崎市内には多くのクラスター危険個所が形成されました。そのような中では、私達ひとりひとりが日頃から防災意識を持って暮らし、突然の災害発生時に即座に避難行動がとれるように心がけるより他に方法はありません。